道東ではオショロコマをイワナ、エゾイワナをアメマスと呼ぶ地域もあるそうだが、アメマスというと河川の中下流域や海の大型化したエゾイワナを想い浮かべる人が多いとおもう。
もうひとつ湖に棲むものもアメマスと呼ばれる。有名な阿寒湖のゴールデンアメマスや、ダム湖の擬似降海型のものは渓流のイワナより大きくて、いかにもアメマスという感じがする。
ところが支笏湖のアメマスはどうか。
初夏にチビアメが無数に岸寄りしているのは見かけるが、湖の大物という印象はない。
また、流入河川に産卵のため遡上する大アメマスを見たという話も聞いたことがない。
もしかして、支笏湖という隔絶された環境の中で、然別湖のミヤベイワナとオショロコマのような亜種関係になる独特の種類ではないかという疑問が生じ、豊平川さけ科学館に質問してみた。
以下がその回答です(公開の承諾をいただいてます)。
支笏湖のアメマスは、確かに川に生息するアメマスよりは、*鰓耙数が多いという結果がでています。オショロコマとミヤベイワナのような亜種関係と同じような関係がある可能性がありますが、現在のところはっきりとしたことはわかっていません。
さて、産卵場所なのですが小さな流入河川で数カ所の産卵床が確認されています。しかし、あれだけのアメマスが生息する支笏湖で数カ所という産卵床の数は考えられません。アメマスの湖での産卵の可能性も考えられます。
私、素人の勝手な想像では支笏湖の湧水地点での産卵もあると思う。
もともと鱒族が上流域まで遡上して産卵するのは、卵や稚魚の外敵が少ないのが理由の一つと考えられる。
もし支笏湖内で産卵するのであれば、他魚種の増加等生態系の変化がアメマスに深刻な影響を及ぼす恐れもあるのではないか?
一釣り人の単純な感想として「支笏湖のアメマスは他とちょっと違う。」
貴重な存在だから釣ってはだめ、となって欲しくはないが、何年経ってもチビアメがうじゃうじゃ泳ぐ湖である事を願う。
*鰓耙(さいは)〜魚のエラの一部で、餌をこしとる器官。オショロコマと然別湖のミヤベイワナは見た目はそっくりだが、この数が違っているらしい。